クリエイターの教育現場に身を置いて最新技術を学ぶ 最新技術を駆使したVR制作ワークショップ

  • Facebookでシェアする
  • Xでシェアする
  • コミュニケーションデザイン
  • コンテンツデザイン
  • 映像/VR
  • 教育・人材育成
  • 渡邊 徹のプロフィール写真

    渡邊 徹クリエイティブディレクター/渡邊課課長

ワークショップのバナーをイメージしたメインビジュアル。

2024年2月、AppleからApple Vision Proが発売されました。この新しいVRデバイスは、超高解像度のディスプレーや高速な処理速度、質の高い音声の再現率などを特徴としており、より臨場感あふれる進化した空間映像体験をユーザーに提供すると謳われています。

ハード面での進化が著しいVRですが、コンテンツもまた、新たな技術を最大限に活用してアップデートしていかなければなりません。

そのような課題感をもっていたところ、折よく東京国際工科専門職大学の渡部健司教授にお声がけいただき、VRの次世代を担うクリエイターと一緒に最新技術を駆使したコンテンツ制作を実験的に行う機会を得ました。

1. 最新技術を駆使したVRコンテンツ制作を試みる産学連携

私が課長を務めるVR映像チーム「渡邊課」は、2024年1月から2月にかけて、東京国際工科専門職大学MIRAI-LABO.(渡部健司研究室)と小田急電鉄株式会社「NEUU」との産学連携実習として、最新のVR体験をつくるワークショップ『xR180ハンズオンワークショップ』を支援しました。

xR180とは、VR180というVRの立体視の映像フォーマットと、バーチャルプロダクション(*)を連動させた立体空間映像VRコンテンツを示す造語です。

*バーチャルプロダクション:実写の被写体をリアルタイムにバーチャル空間の背景と合成する映像制作手法

実習プログラムでは、私を含めたVRコンテンツクリエイターの講義や鼎談を挟みながら、学生たちがチームを組んで約2カ月の日程でxR180コンテンツの制作を行いました。

実際のVRの映像。コンセント渡邊と0b4k3(オバケさん)のアバターが映されている。
実際の講義の様子。モニターに資料を映しながら説明を行なっている。

プログラムの1回目、コンセント渡邊と0b4k3(オバケ)氏によるVR空間での演出の講義。VR空間上にあるイベントスペース「GHOSTCLUB」を巡りながら、実践知を得られる貴重な機会となった。後半は渡部教授も加わり、同テーマでの鼎談を行った。

実習プログラムの詳細については、渡部教授のウェブレポートをご覧ください。

ウェブレポートはこちら

2. 次世代のクリエイターと次世代のコンテンツをつくる醍醐味

このワークショップでコンテンツ制作を行ったのは、3Dやバーチャルプロダクションを用いた次世代の映像制作を学び、プロの制作者を目指している学生です。

VRとバーチャルプロダクションを組み合わせた映像制作は、映像業界でも新しい取り組みで前例があまりないため、最適な制作工程のプロセスやデータの管理方法を検討するところからスタートしました。学生たちが主体となって推進することで、セオリーにとらわれない柔軟で独創性あるアプローチを試しながら、創意工夫あふれる映像制作を実現することができたと思っています。

学生がコンテンツ制作の打ち合わせをしている様子。
グリーンバックに機材が並ぶ空間の中で、撮影を行う様子。

作品完成に向けて、回を追うごとに制作に熱が入る学生たち

渡部先生からは、学生たちの成長観点で下記のようなコメントをいただいています。

課題を進めていくうちに、学生たちから「時間が短い」「時間が足りない」という声が出てきたことに、「あ、欲が出てきているな」と感じました。
普段の課題の中では、制作がルーティン化しているように感じる面もあったのですが、今回の取り組みで学生たちがその枠を超えられたのではないかと個人的には思っています。考えたり、悩んだり、おじけづいたり……そういった感情の変化を経て、それがきちんとつくるものに反映されていました。制作を介して「もう少し突き詰めなくてダメだ」という気付きを得て、それを自分を深めたり、高めていく方向にもっていってくれたのはうれしかったですね。学生たちの成長をひしひしと感じました。
産学連携の中で、いろいろな人との出会いがあり、関係構築があり、制作の過程を一緒に過ごせたのは面白い試みだったと思います。

私としても、学生たちの粘り強い探求姿勢に心動かされ、あらためて、新しいことへ取り組む情熱や、クリエイティブの本質を考える機会をもらいました。

「VRにおける立体空間映像演出」という、方法論自体もまさに発展途上の分野において、新鮮な視点やアプローチが見られたことは純粋に楽しかったですし、学生たちの作品の制作支援や視聴を通して、リアルでもオンラインでもない新たなコミュニケーション手段としての可能性や、エンターテインメント分野の映像体験の臨場性の拡張の可能性を非常に感じました。

参加メンバーの集合写真

3. さいごに

空間映像体験はVRゴーグルなど専用の機材を通してしか体験ができないため、視聴面でも制作面でも一般にはまだまだ普及していない技術です。この体験は、平面ディスプレーで展開される映像体験と比べると、臨場性などの面で優れている部分がありますが、前述したようにまだまだ技術の発展途上にあり、コンテンツのクオリティも未成熟なものが多いというのが現状です。だからこそ、デバイスの進化や普及と同時並行で空間映像の演出を極めていくことができれば、近い将来に新しい次元の映像体験を世の中に提供できるようになるのではないかと考えています。

今回のワークショップでの映像についても、多くの人に実際に体験してもらい、ご意見をいただくことで、今後のVRコンテンツの発展につなげていけると良いと思っています。

今回のワークショップで制作した作品は、小田急電鉄「NEUU」において展示されています。また、DeoVRでもコンテンツ配信中です。ぜひ次世代の映像コンテンツを体験してみてください。

各チームの完成作品を公開しています。
VRゴーグルをお持ちの方は、ぜひヘッドマウントディスプレイでご覧ください。

[ 執筆者 ]

  • Facebookでシェアする
  • Xでシェアする

コンセントは、企業と伴走し活動を支えるデザイン会社です。
事業開発やコーポレートコミュニケーション支援、クリエイティブ開発を、戦略から実行まで一貫してお手伝いします。

ページの先頭に戻る