コンセントがウェブアクセシビリティアドバイザリー担当として協力した株式会社小学館(以下、小学館)の辞書編集室公式ウェブサイト「ことばのまど」が、2023年4月3日(月)に公開されました。「ことばのまど」サイトは、2022年に創業100周年を迎え、70年ほどの辞書出版の歴史をもつ小学館による、辞書など“言葉を学ぶための本”と出会うための場所です。

本サイトではアクセシビリティに配慮したデザインが追求されています。出版社では近年ウェブメディアの活用が加速度的に進められており、「紙もウェブも年齢的・身体的条件にかかわらず広く情報を届けたい」という考えと、「特に言葉を扱う辞書や事典はできるだけ多くの人が知りえるようにすべき」という思いが同社にあるためです。
こうした小学館の考えを受け、コンセントでは「ことばのまど」サイトにおけるウェブアクセシビリティの取り組みに協力いたしました。
今回の取り組みにおける大きな特徴は、コンセントのアドバイスやレビューを受けていただきながら、サイトの設計・デザイン・構築といった制作自体は小学館のみなさまが担当された点です。アクセシビリティの取り組みは組織的に継続して行っていく必要があり、そのご支援をすることが長期的な視点において有効であると考えたためです。
具体的な支援内容としては、まず小学館のプロジェクトチームや、その先のウェブサイト制作を担う制作会社の方々に対し、ウェブアクセシビリティの概要から実制作におけるポイントなどについて、研修形式でお話しさせていただきました。その後、ウェブサイト構築の設計・デザイン・コンテンツ・実装の各フェーズでの中間成果物に対して各観点からレビューを行い、実制作を担当される皆さまと対話をしながらアクセシビリティの品質を確保・向上していきました。今回レビューを担当したのは以下のメンバーです。
- 設計・デザインの観点:見野伸太郎(UX/UIデザイナー)、叶丸恵理(UX/UIデザイナー)
- コンテンツの観点:佐野実生(サービスデザイナー/インクルーシブデザイナー)
- 実装の観点:秋山豊志(エンジニア/アクセシビリティエンジニア)
また、全体のプロジェクトマネージメントを堀口真人(アカウントマネージャー/プロデューサー)が担当しました。今回の公開に伴って小学館公式ウェブサイトの記事に、コンセントアクセシビリティチームを代表した堀口のコメントを掲載していただいております。
堀口真人からのコメント(
より抜粋)実は、アクセシビリティに配慮している出版社のウェブサイトはそれほど多くありません。それどころか、企業全体でみても十分に取り組まれているとは言いがたい状況にあります。まだ「プラスアルファの対応」と捉えられ、要件から外れたり、制作過程で後回しにされたりすることも多いのが実情です。
しかし、他のメディアに比べて圧倒的に多くの人が情報にアクセスできるウェブサイトを最大限活用するには、ウェブアクセシビリティの確保と向上が欠かせません。それによってさまざまな環境や条件にある人々が、場合によっては言語すら超えて情報にアクセスできるようになります。「ことばのまど」のようなコンテンツがアクセシブルになり、より多くの人が知識を得られることは、大変意義深く、素晴らしいことです。
まだすべてのページが対応しているわけではありません。しかし一定の品質は確保しており、今後さらなる向上を目指していくとのこと。取り組みははじまったばかりですが、小学館のような大手出版社が先陣をきって取り組みを進めることは、業界全体にとっても非常に大きな一歩です。これをきっかけとして、より多くの出版関連コンテンツのウェブアクセシビリティが向上されていくことに、期待が膨らみます。
コンセントではこれからも「デザインでひらく、デザインをひらく」をミッションに、ウェブアクセシビリティの取り組みの支援を続けていきます。