コンセント有志メンバーによって継続する能登半島地震復興支援プロジェクトで取り組む複数の活動のうちのひとつとして、商品開発に協力させていただいた輪島塗『Pallet(パレット)』が「采色塗 なか門」(以下、中門漆器店)よりリリースされました。『Pallet』は、石川県輪島市で上塗屋を営む中門漆器店が能登半島地震後に初めて発表した新シリーズとなります。

「采色塗 なか門」(中門漆器店)の輪島塗新シリーズ『Pallet』(撮影:此谷内遥介)。
【シリーズ概要】
- 商品名:Pallet(パレット)
- 仕様:
- プレートL:Φ24.5cm H2.4cm
- プレートS:Φ16.9cm H1.3cm
- ココット:Φ7.8cm H3.1cm
- 発売元:采色塗 なか門(中門漆器店)
- 開発協力:
- 株式会社コンセント
- アートディレクター:佐々木愛実(SASAKI Manami)
- プロデューサー:野澤美子(NOZAWA Yoshiko)
- スーパーバイザー:大﨑 優(OSAKI Yu)
采色塗 なか門
昭和元年の創業以来、輪島塗の伝統を守り続けてきた中門漆器。先人たちの技術を受け継ぎ、昔と変わらぬ高品質なものをつくり続けること、時代の変化に合わせて試行錯誤し、創意工夫を重ねることを大切にしながら、製作に取り組む。
金銭でも、労働力の提供でもない復興支援のかたちを模索する
2024年1月1日、石川県能登地方を震源とした能登半島地震が発生しました。コンセントで能登半島地震復興支援プロジェクトが立ち上がったのはその数週間後、1月19日のことでした。
建物倒壊、火災、津波など、日々報道される甚大な被害を目の当たりにし、自分たちにもなにかできるのではないかと考えたメンバーが伝手を頼り、被災地の状況を調査するなどしてアプローチを模索。その中で被災地の「伝統工芸や文化活動の担い手の方々の力になること」「金銭や労働力の提供ではなく、個々人の人脈やデザイン力を活かした支援」を活動の軸としていきました。プロジェクトは複数の活動へと分岐し、現在に至ります。
J-GoodTechを通じて出会った「采色塗 なか門」(中門漆器店)
コンセントの能登半島地震復興支援プロジェクトのひとつが、今回の輪島塗『Pallet』の商品開発協力です。
きっかけは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するビジネスマッチングサイト「J-GoodTech(ジェグテック)」の「令和6年能登半島地震『復旧・復興マッチングサイト』」に掲出された中門漆器店の「輪島塗の新製品の開発」ニーズでした。
「震災後、初めて発表するこの作品は『なか門らしいもの』に」
オンラインミーティング、出展先や現地輪島市での打ち合わせを重ねる中で、新シリーズの骨格が固まっていきました。
「伝統×前衛」の塗り師が紡ぐ新章の幕開けを告げる新シリーズ
中門漆器店は昭和元年の創業以来、上塗り(塗りの最終工程)を生業に輪島塗の伝統や技術を忠実に守り続けながら、ピンクやブルーなど鮮やかな色漆やグラデーション塗りなどの表現を探究し、他クリエイターとのコラボレーションなどを含め、斬新で独創的な作品を数多く発表してきました。
「輪島塗を盛り上げていきたい、守っていきたい」という強い思いのもと、輪島塗の塗り師としてまだ見たことのない作品づくりや取り組みに挑戦する姿が新シリーズ『Pallet』に投影されています。
コンセントでは『Pallet』商品開発協力のほか、PRツール開発(ポスター・パンフレット・LP制作)を担当しています。中門漆器店は2025年3月19日〜25日、松屋銀座7階 遊びのギャラリー1979で催される「季節を盛るうつわ」に出展。『Pallet』も展示販売予定です。


ピンクやブルーなど鮮やかな色漆やグラデーション塗りなど多彩な「采色塗 なか門」(中門漆器店)の作品。


新シリーズ『Pallet』は、塗り師が新しい表現を試すときに使うパレットから着想を得ている(撮影:此谷内遥介)。


【『Pallet』コンセプト】
職人が新しい表現を試すときの色見本から着想した、パレットシリーズ。
わたしたちの日々が彩り豊かでありますように
毎日を自分らしく楽しめますように
そんな思いをカタチにしました。
「采色塗 なか門」(中門漆器店)中門睦子さんコメント
1月1日の激震で輪島は破滅に追い込まれ、何をしたら良いか皆が呆然としている時、必死で片付ける主人が居ました。
「輪島塗を作れなくなるのが怖かった」
周りから水も出ない所に居ないで避難しろと言われても、ここで作り続けると頑として仕事場を離れることなく塗り続けている姿を見て、何とか前に進まなくてはと思いました。
コンセント様とのご縁を頂き、前進に向けての作品作りに取り組む事が出来ました。輪島塗は沢山の職人の手により一つの作品が仕上がります。下職の職人も先が見えないと言ってましたが、仕事を発注する事で少しづつ前を向いて作業を始めております。ご支援のお蔭で、職人の前進する力を頂きました事、感謝の気持ちでいっぱいです。沢山の方のお力添えに支えられながら、伝統工芸を守っていきたいと思います。


輪島塗伝統工芸士の中門博さんと中門睦子さん(撮影:此谷内遥介)。