
賃貸マンションオーナーと管理会社社員
双方へのリサーチから生まれたコミュニケーションサービス
従来の賃貸マンション管理では、マンションオーナーと管理会社は電話やFAX、郵送といったアナログな手段でやりとりをしていました。そんな賃貸マンション管理をもっと手軽に、もっと便利にするコミュニケーションサービスとして「HOLiY(ホーリー)」が誕生しました。
コンセントはオーナー様へのインタビューや賃貸管理受託会社である長谷工ライブネット様(以下、長谷工ライブネット)の業務調査をベースに、オーナー様が心地よく使えることはもちろん、管理会社社員が業務の中でしっかり活用できるサービスの開発を支援しました。
- ウェブサイト・サービス
- モバイルアプリ
- 映像
- 販促ツール
- ブランディング支援
- 事業開発支援
- メディア・コンテンツ開発
[ プロジェクトのポイント ]
- サービスコンセプト開発からプロダクト開発、プロモーション支援までサービス開発のあらゆるフェーズを支援
- ユーザーとなるオーナー様へのインタビューを通じてサービスのコアな提案価値を策定
- 関係部署社員とプロトタイピングを繰り返しつくり上げた、業務に溶け込むプロダクト
プロジェクトの背景
長谷工グループでは、2018年にFuture(未来)/ Innovation(革新)/ Transformation(変換)を志向する「FIT-PJ(フィットプロジェクト)」が発足し、長谷工グループ各社から選抜された中堅・若手社員約20名がイノベーションを目指してさまざまな新規事業を開発しています。「HOLiY」はオーナー様向けにITサービスを提供し、オーナー満足度の向上を目指す取り組みの中から生まれました。コンセントはサービスコンセプト開発・アプリケーションのUX/UI設計・プロモーションツール作成など、サービス開発のあらゆるフェーズを支援しました。
問題解決までのアプローチ
マンションオーナーへの提案価値の探索と検証
本プロジェクトは「オーナー満足度の向上のためにITサービスを提供する」という方向性が決まった段階からスタートしました。そのため、まず初めにオーナー様がマンション管理をITを介してどのように行えれば価値を感じられるのか調査を行いました。
オーナー様へのインタビュー結果をもとに、ペルソナやジャーニーマップ、価値マップなどを作成しサービスの提案価値の探索およびサービスコンセプトの構築を行いました。


初期段階のジャーニーマップ(上)とカスタマジャーニーで明らかになった課題点をまとめた資料(左)、サービスのターゲットとなるペルソナを具体化した資料(右)。
サービスコンセプトの検証に当たっては、仮想のパンフレットの形にサービスコンセプトをまとめた「コンセプトインプレッションシート」とアプリのプロトタイプを用いてオーナーへインタビューし、受容性の評価を行いました。
オーナー様からの反応は上々で、「従来のアナログな手続きから解放され、困ったときにはチャットのような感覚で気軽に管理会社に相談ができる」「保有物件の入居者募集・工事の状況や月次報告などの情報を一元化する」といったサービスのコアな提案価値を仮置きしました。
一方で、デジタル化への不安を感じているオーナー様もおり、心理的・作業的なスイッチングコストを最小化すべき、という開発上のアジェンダを設けることもできました。

作成したコンセプトインプレッションシートの一部。初期段階でプロトタイプに起こすことで制作者間のイメージを揃えることができ、その後の検討を進めやすくなる。また、本事例のようにユーザーから意見を引き出す道具としても活用される。※この段階では「HOLY」という仮称だった。
管理会社社員の業務設計
オーナー様に恒常的にサービスを提供し続けるためには、サービスを裏側で支える管理会社社員の業務体験も考慮する必要があります。そのため、まずは現状の業務について把握すべく、10部署の現場担当者と上長へのインタビューを行いました。その結果をもとにHOLiYでどのようなことができれば、社員がこのアプリを介して無理なく業務を遂行し、オーナー様に高い価値を届けられるのか検討を重ねました。
サービスブループリントとストーリーボードで業務の流れや具体的な利用イメージを可視化し、管理会社社員からフィードバックを頂きブラッシュアップしていきました。

作成したサービスブループリントの一部。サービスが顧客に提供されるプロセスを整理しまとめている。

作成したストーリーボードの一部。ユーザーがHOLiYを活用することで得られる体験をストーリー形式で書いている。
マンションオーナー向け・社員向けプロダクトの開発
HOLiYでできることの大枠を定めてから、マンションオーナー向け・社員向けプロダクトのUIデザインを開始しました。連携する他システムの調査を並行して行い、開発要件を調整しながら精緻化していきます。特に機能が複雑な社員向けプロダクトはプロトタイプを何度も作成し、現場社員の方々とブラッシュアップを重ねていきました。
開発したプロダクトは、少数のオーナー様の協力のもと実証実験を行い機能の追加や改善を続けました。

マンションオーナー向けプロダクト。個人で賃貸マンション経営を行っているオーナー様には比較的年齢層が高い方も多いため、読みやすさ・操作のわかりやすさを重視した。

社員向けプロダクト。業務ではたくさんの情報を一覧しながら重要な箇所を即座に把握する必要があるため、一覧性とメリハリを重視した。
プロモーションツール制作
サービスの正式ローンチ決定後は、オーナー様にHOLiYを案内するための資料や動画、スムーズな利用をサポートするためのマニュアルといったコミュニケーションツールを制作しました。2023年1月現在は、利用オーナーの拡大に向けたプロモーションが進行中です。
クリエイティブのポイント
サービスロゴ
ロゴタイプはシンプルでニュートラルな印象の書体をベースに一部曲線を用いて親しみやすさを加えています。「H」は上下に連なる窓を想起させる形状としマンションの壁面を表現しています。
ロゴマークはサービス名を想起しやすいように「H」と「i」をピックアップして構成しています。「Hi(ハーイ)」と読めることから、マンションオーナーと管理会社の気軽なコミュニケーションをイメージさせます。また、人がマンションの入り口に入っていく様子に見立てて、入居者が増えマンションが活気づいていく未来も表しています。

作成したロゴタイプとロゴマーク(商標登録済)。
サービス紹介資料・動画
従来の電話や郵送といった通信手段から、HOLiYの利用に切り替えてもらえるようマンションオーナー向けのサービス紹介資料と動画を作成しました。動画はHOLiYでできることをイラストを用いてわかりやすく伝えるとともに、実際の画面の操作イメージも見せることにより「これなら簡単に使えそうだ」と思ってもらえる工夫をしています。

サービス紹介資料。写真を多用しHOLiYの機能が簡潔にまとめられている。

サービス紹介動画のキャプチャ。イラストを活用したアニメーションを展開することで、機能を分かりやすく伝え、親しみやすい印象を与えている。
[ プロジェクト概要 ]
クライアント名 | 長谷工コーポレーション 様 |
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公開日/発行日 | 2022/07 |
[ 関連リンク ]
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