長谷工コーポレーション   マンション管理サービス「smooth-e」事業開発支援

従来型の理事会を廃止し、住人みんなが主人公になれるマンション管理の新しいカタチを提案する「smooth-e（スムージー）」の事業開発を支援しました。初期のコンセプト開発からMVP（最小限実用可能なプロダクト）による検証、およびその後の事業化とサービス拡大に至るまで、長期的に伴走しながら事業開発を幅広く支援しています。

株式会社長谷工コーポレーション様では、2018年に長谷工グループの5年後、10年後を見据えたイノベーションを推進していくことをミッションとした「価値創生部門」が設立され、さまざまな新規事業開発が推進されています。その中の「FIT開発部」が中心となり推進する「FIT-PJ（フィット・プロジェクト）」における1つのテーマとして、既存の分譲マンション管理サービスのイノベーションに取り組んでおり、サービスコンセプトの開発からコンセントが支援しました。

コンセプト開発フェーズ

ユーザーリサーチを踏まえて既存のマンション管理サービスに対する価値観や課題を分析し、サービスコンセプトの開発・検証を行いました。マンション管理サービスを単にデジタルに置き換えるのではなく、そもそもマンションという1つの集合住宅に「人々が共に住まう」ことの本質的な意味から問い直し、マンション管理におけるコミュニケーションや合意形成をどう捉え直すか？というような幅広い視点でコンセプトの探索を進めていきました。

MVP開発・検証フェーズ

サービスコンセプトに基づいてMVPを開発し、3棟のマンションでの4ヶ月間の試験運用によってサービスの価値検証を行いました。試験運用期間中も効果測定をもとに運用方法やUIを継続的に改善。それと並行してビジネスモデルの検討や、コンセプトの受容性とプライシングを検証するための定量調査を実施し、事業計画の策定を支援しました。

完成イメージに対してフィードバックを行い、UIデザインを検討。

本開発フェーズ

MVPでの検証を踏まえて、事業化に向けたプロダクトの開発、およびプロモーションも含めた全体の顧客体験設計と事業戦略策定を実施しました。プロダクトのUI設計だけではなく、カスタマージャーニーマップやサービスブループリントによって、サービスの認知から利用開始などまでを含めた一連の顧客体験と業務フローを設計。その後、プロモーション用のLPや動画、管理組合向けの営業資料、オンボーディングのための説明資料や利用ガイドといった個別のタッチポイントで使用するコミュニケーションツールを制作しました。

2021年8月に正式にサービスがローンチされ、随時サービス導入が進んでいます。サービスローンチ後もアクセス解析や利用者に対するUXリサーチを実施し、継続的な機能改善を行っています。

smooth-eは、既存のマンション管理で一般的な理事会をなくした「第三者管理者方式」という管理方式を採用しています。マンション管理の負担を軽減する一方で、暮らしに関するアイデアをアプリ上で住人全員がいつでも気軽に投稿し、みんなで決めるというマンション管理の新しいカタチを提案しています。

smooth-e サービス紹介動画

理事会というごく一部の限られたメンバーが決めるのではなく、「みんなで考え、みんなで決める」というオープンでフラットなコミュニケーションは、既存のマンション管理の方式とはまったく発想が異なるため、サービス開発においてもその意思決定プロセスをどうデザインするか、という部分が一番の検討ポイントになりました。アイデア投稿から最終的な投票まで、どのようなアクティビティを設計すればアイデアや議論が活性化し、コミュニケーションが円滑に進むかという観点で初期段階からUI/UXを何度も試行錯誤し、現在も継続的に改善しています。

アイデア投稿から投票までのプロセス。

また、デザインの対象がプロダクトだけではなく、プロモーションツールや営業時の説明資料など複数のタッチポイントにまたがるため、smooth-e独自のデザインシステムを構築、運用することで、一貫したブランドイメージや世界観をつくっています。

サービスを紹介するLPサイト。

営業時の説明資料。マンションの管理組合が抱える潜在的な課題に対して、smooth-eが提供できる価値について説明している。

サービス概要のパンフレット。smooth-eでできることと、実際のアイデア投稿・投票のやり方について紹介している。