
行政組織へのデザイン導入を支援
経済産業省 特許庁様(以下、特許庁)でデザイン思考を学ぶ研修を行いました。研修はおよそ半年の間に、若手職員、管理職、特許庁長官をはじめとした幹部向けとに分けて行われ、ワークショップを通したデザイン思考の基礎的な理解に加えて、特許行政における活用イメージのディスカッションを行うなど実務的な視野で実施されました。
- トレーニング・研修
- デザイン思考組織化支援
プロジェクトの背景
デザイン思考やサービスデザインのアプローチを活用して特許行政の品質向上をはかること、そして、それを組織能力として蓄積し継続的な価値提供を行うこと、この2点を特許庁は求めていました。
その課題に向けて、研修の目的として、管理職、幹部向けには、「ユーザー視点に立った共創による課題解決に取り組む組織風土の醸成を推進する指導者となること」、若手職員向けには「組織の垣根を越えた顧客視点でのサービス改善」と設定し、研修内容を設計しました。
研修では、デザインアプローチの理解と可能性の認識に軸足を置き、上記の研修目的を達成する端緒となるための体験を得られることを重視しました。
なお、経済産業省・特許庁は
を公表し、デザインを活用した経営手法「デザイン経営」の効果、ならびに「デザイン経営」を推進するための政策について提言しています。また、本研修後の2018年8月4日に、特許庁にてデザイン統括責任者(CDO)が設置され、その下に「デザイン経営プロジェクトチーム」が立ち上がることが決定するなど、行政でのデザイン導入は発展を見せています。
問題解決までのアプローチ
一連の研修のうちの1つである管理職研修は1日のワークショップ形式で行われ、28名が参加しました。
研修プログラムはデザイン思考プロセスを一通り体験した後に、最後のレクチャーを通して深い理解を得られる構成にしています。
内容は下記のとおりです。
- デザイン思考に関する基本情報や近年のトレンドについて
- 外部人材へのインタビューによるユーザー共感
- ユーザータスクの可視化と分析
- アイディエーション
- アイデアのストーリー試作
- 組織としての実現検討
- デザイン思考プロセスに関する詳細レクチャー



なお、研修後のアンケートでは下記のようなフィードバックが寄せられました(一部要約)。
「これまで、伝聞情報で確たる内容を知らなかった“デザイン思考”について、思考方法と手順を具体的な形で研修できたことにとても満足。断片的だった情報と内容が、網羅的・体系的に把握でき、短時間であったが、グループワークで、デザイン思考の枠組みは理解できたと思う。実際の業務について、新興国人材育成事業の内容にデザイン思考を取り入れた実施を試してみたい。今回の研修で得た情報や体験した手法にあるような共感からプロトタイプ作成のプロセスを通じた思考を用いて、何をどのように変更や改善をしていくか検討していく必要があると感じました。」
「デザイン思考の具体的な実践方法について、断片的には知っていたものの、1日集中して、体系立てて学び、試行ができたことは満足。今後の職務遂行において、実際に使える(使いたい)と思えるものもあったし、使えない(使いづらい)と思うこともあり、その両面を学べたことが何よりも、満足であった。また、ある程度、思考・行動方法が確立してしまっている管理職に、このような新たな思考・行動方法を与える研修を行うことは有意義であったと思う。インタビュー方法や、アイデアを出す方法は実践で使える場面は多いと感じた。他方で、ストーリーで考えていくところ以降は、実戦で使って成果を出すには、チーム全体でしっかり時間をかけていかなければならず、かなり壁は高いと感じた。組織全体でデザイン思考に基づく取り組みを進めていくには、かなり時間も手間もかかることがわかり、また、片手間で半端に取り組んでも、真の成果は出にくいと感じた。」
プロジェクトの体制
- 講師:4名
[ プロジェクト概要 ]
クライアント名 | 経済産業省 特許庁 様 |
---|---|
公開日/発行日 | 2018/3/14(若手職員向け研修)、2018/6/8(管理職向け研修)、2018/7/13(幹部向け研修) |
[ 関連リンク ]
お仕事のご相談やお見積もり、ご不明な点など、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ