
組織の垣根も、場所の制約も超え
シナジーが生まれる共創空間
住友化学株式会社様(以下、住友化学)が新本社移転に伴い新設した「SYNERGYCA(シナジカ)共創ラウンジ」(以下、SYNERGYCA)。コンセントは、本施設のユーザー体験構築、デジタルコンテンツの企画・設計、VRコンテンツの制作を行いました。
- 映像
- UXコンサルティング
- メディア・コンテンツ開発
- クリエイティブ開発
[ プロジェクトのポイント ]
- 一方的な情報提供に終始しない「共創空間」としての体験設計
- With/Afterコロナに対応したリアル・リモートを柔軟に組み合わせられるコンテンツ
- 国内外の企業と連携した共創型プロジェクト
プロジェクトの背景
SYNERGYCAは、「世界を化(か)える話をしよう~Chemistry for innovation~」をテーマに、住友化学の社員と、産官学さまざまな分野の人々が交流や議論を通じて、新たな価値の創造につながるアイデアや気付きを生み出すことを目的とした共創の場です。
本目的を達成するために、SYNERGYCAでの体験を通じて、何を社外ユーザーに伝え、どのようにその先の共創へと促すか、社外ニーズと社内ニーズの両面からユーザー体験を検討する必要がありました。
また、コロナ禍によって世の中のコミュニケーションの方法が変化する中で、実空間を活かし、対面とリモートのハイブリッド型で交流や議論を行うことができる仕組みが求められていました。
コンセントは、本施設のプロデュースや空間設計などを手掛けたコクヨ株式会社様(以下、コクヨ)のプロジェクトパートナーの1社として、体験設計からコンテンツの企画・制作までを包括的に支援しました。
問題解決までのアプローチ
社内・社外の利用者を中心に据えた体験設計
共創の場の在り方を具体化していくために、まずは住友化学の社員や社外の想定ユーザーにインタビューを行い、共創空間に求められるニーズの洗い出しを実施しました。
次に、住友化学とコクヨのプロジェクト担当者とのワークショップを通じて、各ステークホルダーのニーズに即した体験の流れをカスタマージャーニーマップ(以下、CJM)に落とし込みました。こうして議論を可視化していくことで、プロジェクトが重視する体験をチーム内で共有し、共通認識をつくりました。

作成したCJM。実現したい一連の体験として、プロジェクトチームの共通言語となる。
議論の結果、SYNERGYCAでの体験はあくまで「共創のスタート」であると位置付けました。そのためには「さまざまな来訪者に対して柔軟に対応すること」「来訪者が知りたいことと住友化学の伝えたいことが最適なバランスで対話できること」「他者へ共有したくなるような体験を与えること」が必要であると定義しました。
対面・リモート複合型コミュニケーションでWith/Afterコロナに対応
With/Afterコロナの状況を踏まえ、SYNERGYCAで提供する全てのコンテンツにはリモート対応が求められました。
対話の場においては、ライブ配信ツールやオンラインホワイトボードを導入することで、オンラインとオフラインをシームレスにつなぐ仕組みを設け、共創の場に来訪する方と遠隔地から参加する方とのスムーズな対話機会の提供を実現しました。また、共創の場で閲覧できる住友化学の製品・技術紹介や会社紹介の展示なども、ウェブブラウザから同コンテンツにアクセスできるようになっています。
このようにリモートを前提とした対応をすることで、海外企業など距離的な制約があるユーザーとの対話機会の創出や、その場の対話に限らずオンラインを介して補足情報の提供が可能になるなど、共創の機会・可能性を広げることにつながりました。

「体験する」エリア(左)と「交わる」エリア(右)の様子。リモートでもリアルと相違ない体験をオンラインツールで展開。
リモートでの体験価値を最大化させるVRコンテンツ制作
世界各国の住友化学の研究拠点や工場を見学できるワールドVRツアーと、オンライン上でSYNERGYCAを体験できるコンテンツの制作を行いました。
VRツアーでは、実際には訪問が難しい国内外の施設を、バーチャル空間を介して見学してもらうことができます。実際の人間の視点に近いかたちでの没入感を伴ったVR体験によって、平面的な映像では得られない臨場感を楽しみながら住友化学への理解を深めてもらえるコンテンツです。

住友化学のワールドVRツアーの体験エリア。世界各国の研究拠点や工場を体験することができる。
制作は、コンセントのVR映像制作チーム「渡邊課」が担当しました。
クリエイティブのポイント
一方的にならないオープンイノベーションの創出に向けて、全てのコンテンツにおいて来訪者との相互理解を深めることを重視しました。そこで、展示しているコンテンツは来訪者のニーズや興味範囲に合わせて柔軟にカスタマイズできるつくりにしています。
住友化学の製品、技術、研究開発などの取り組みを紹介する壁面ディスプレイは、来訪者自らがタッチなどのアクションを介して情報を取り出せる能動性を重視しました。また、印象的なビジュアルやキーワードをインデックス的に用いることで、求める情報にアクセスしやすくし、体験が冗長にならないようにしました。
さまざまな切り口から住友化学の情報を提供することで、「一緒にこんなことができるかも」という共創のきっかけとなるコミュニケーションが生まれるコンテンツとして設計しました。
リアル・デジタル・バーチャル、それぞれの良さを最大限活用したコンテンツを組み合わせることで、シチュエーションに応じた柔軟性のあるコミュニケーションが可能になる空間を実現しました。

製品、技術、研究開発などの取り組みを紹介する壁面タッチディスプレイ。来訪者が自由に探索することができる。

住友化学グループの歴史を伝える展示エリア(左)。オフィスとは異なる雰囲気で、フラットに対話できる会議室の様子(右)。
「SYNERGYCA(シナジカ)共創ラウンジ」が、2022年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。
[ プロジェクト概要 ]
クライアント名 | 住友化学株式会社 様 |
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公開日/発行日 | 2021/12/01 |
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